守月堂

夜、ふと立ち止まったときに。 ここは、月の灯りがともる場所。 守月堂を舞台に、 月守衆と人間たちの物語を綴っています。 これは、 月に導かれた灯火たちの御伽話。 疲れた夜に、 少しだけ心を休めてもらえたなら幸いです。 ――今夜も、良い月を。

達郎と和子の青春物語

本編の前に、今夜の小噺を。

月明かりの下で、少しだけ。

 

moritsukido.hatenadiary.com

 

 

今夜の守月堂。

 

縁側には、やわらかな夜風。

店の中には、賑やかな笑い声が響いていた。

 

昨夜の、和子さんの“元・総長事件”の話で、

店内はまだ盛り上がっていたのである。

 

和子
「じゃあ、おじさんとおばさんの昔話、聞かせてあげる」

ソラ
「おぉ、それは聞きたいな」

レナ
「うん、私も!」

マモル
「ぜひ、聞かせてもらいます」

ルナ&ハル

「あたしも!俺もー!」

和子

「あんたらはすぐに話すからだめ!!

……なーんて、冗談だよ笑」

 

店内に笑い声が広がる。

そして和子さんは、

少し懐かしそうな目をして、語り始めた。

 

和子
「私と達郎さんは、
小学生の頃からの幼馴染なんだ」

ソラ
「そんなに昔からの?」

和子
「そう。家が近所っていうのもあったんだけど、仲良かったなぁ。

でも中学校に入った時に、

私は色々あってグレちゃって笑」

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レナ
「そうなんだ」

 

和子さんがクスッと笑う。

 

和子
「そうなの。そこから、不良の才能?あったのかな?

クスクス笑

あれよこれよで仲間とチーム作って、

喧嘩三昧で、気がついたら、昨日の写真よ。まあ荒れてた」

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ハル
「すごくカッコよかった」

和子
「だから、周りはハレモノ扱いな訳。

昔からの友達も、先生も、

“もう見放した”って感じでね」

 

和子さんが、

ふと夜空を見上げた。

 

和子
「だけど、あの人だけは私を見捨てはしなかった」

 

静かになった店内。

 

和子さんは、

ふっと笑いながらルナを見た。

 

和子
「ねぇ、ルナちゃん。
達郎って喧嘩強いと思う?」

ルナ
「えー?正直あんまり強いとは思えないかなー。

優しい面白いおじさんって感じかなー」

 

和子
「だよね?そう思うよねー」

ハル
「え!?まさか!
めっちゃ喧嘩強かったとか!?」

和子
「そうなの!!ああ見えて、めっちゃ弱かった笑」

ソラ
「そのままかい!笑」

和子
「あははは、そうなの。

だって彼、高校時代、将棋部だったもん」

 

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レナ
「イメージ通りだ!笑」

和子
「だよね笑

でもさ......一回だけ、喧嘩したの見たんだ」

 

店の空気が、

少しだけ変わる。

 

和子
「達郎さんは、毎日学校で顔を合わせるたびに、

お説教するんだよ。

 

“もっと自分を大切にしろ”だの、

“また怪我してるじゃないか”だの、

“いい加減喧嘩とかやめろ”だの。

 

和子「ほんと周りから、“あんたらどんな関係?”

ってイジられてた笑」

 

ルナ「達郎さんらしい!」

和子
「そうなの。でもさ、レナちゃん、

わかるよね?

こういう時って、

人って素直になれないんだよねー?」

レナ
「な、なんで私に言うのよー笑」

和子
「あははは笑

だから達郎さんに、いつも“うるせえ!”

とか言ってたの」

ハル
「素直じゃないねー!

ほんとは嬉しかったのに?」

和子
「いや、あん時は正直ウザかった笑」

ソラ
「あははは!」

和子
「でもね……。高校二年生の時だ。

お母さんに泣かれてさ。

“高校だけは卒業しな”って。

うちのお母さんも、高校卒業してなくて苦労したから、

せめて高校だけはって」

 

和子さんは、

少し遠くを見るように笑った。

 

和子
「その涙に負けちゃって。

和子17歳。

必死に学校で勉強を始めたわけ。

そしたらさ、先生も周りも、

 

“やめろよ”とか、

“似合わねえ"とか、

“やっても無駄だ”

"今更、マジメぶるなよ”とか、

 

ボロクソに言うわけ。

でもそりゃそうだよね。

不良街道まっしぐらなやつが、真面目に勉強なんて、

って馬鹿にされて当然だよね。

私もそう思ってた。そしたらさ――」

 

和子さんは、

パッとハルの顔を見た。

 

和子
「達郎さんがさ、私を馬鹿にした男子生徒に、

殴りかかったんだ!」

 

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ハル
「えっ!?」

和子
「“真面目になろうと頑張ってるやつを笑うんじゃない!!”
って」

ルナ
「やるぅー!達郎さん!」

ソラ
「ほんで、相手をボコボコにしたわけやな?」

和子
「いや、ボコボコにされたのは達郎さん。

ほんと弱かった笑

で、もちろんそいつをボコボコにしたのは――」

 

和子さんは、

ニヤッと笑った。

 

和子
「わ・た・し💕」

 

一同「やっぱりーーーー!!」

 

店内は、

大きな笑い声に包まれた。

 

和子
「んで、達郎さんに聞いたの。

バカ....。なんで喧嘩弱いのに喧嘩売ったんだよ?って。

そしたらさ――」

 

達郎
「幼馴染を馬鹿にされて、許せるか!

それに!……ゴニョゴニョ」

和子

「は、はっきり言ってよ!それに、何よ!?」

 

達郎
「.....子供の時から好きなやつを、

馬鹿にされて許せるわけないだろ……」

和子「!!!!!!」

 

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ルナ&レナ

「きゃーーーーーー!!!」

 

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和子
「……ってなわけで、

まぁ色々あったんだけどさ。

達郎さんに勉強教えてもらって、

高校卒業して……

って感じになったんだよ」

 

マモル
「ええ話、ごちそうさんでした、和子さん笑」

そう言って、マモルは立ち上がる。

 

和子
「あはは、お粗末さまでした笑」

 

 

ソラ

「ええ話聞いたなぁ。

今の二人から、想像できひんなぁ。

いや……達郎さんは今と変わってへんか?笑」

 

和子

「そうなの笑

そして結婚してさ、勇気が生まれて。

本当に幸せだった。

でも、勇気が病気で亡くなって。

私も心荒んじゃって。また離れちゃった」

ルナ
「和子さん……」

和子
「でもね!!

それを救ってくれたのが!!」

 

和子さんは、

ルナとレナをぎゅっと抱きしめた。

 

和子
「守月堂のキミたちだーーーーー!!」

ルナ
「わーーー!!笑」

レナ
「ちょ、ちょっと和子さん!笑」

 

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そんな三人を見ながら、

ソラとハルが優しく笑う。

 

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和子
「ありがとうね、みんな!」

レナ
「あはは、ん?あれ?マモルさんは?」

ソラ
「堂主なら、あそこや」

 

ソラが指差した先。

縁側には、

月を見上げる二人の姿があった。

達郎

「まいったなぁ……恥ずかしすぎるじゃないか」

マモル
「まぁ、昨日のお返しですなぁ」

達郎
「あははは……

お恥ずかしい限りで。

でも、和子も言ってましたが、

あなたたちには本当に感謝しています」

 

 

マモル
「今夜も、月がきれいですなぁ」

 

 

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縁側に、静かな夜風が吹いていた。

 

 

本日も、ご来店いただきありがとうございました。

よければ、月を見上げて、大切な人を思い出しながら

今夜も良い月を、と優しい顔でささやいてみてください。

 

それでは、今夜も、良い月を。

 

守月堂、堂主マモルでした。

本記事にて採用しております全画像は、生成AI(守月堂)にて生成したものです。